2010年04月の記事一覧 | 東京・世田谷の工務店|新築・注文住宅やエコリフォームなら【リフォームラボ】

職人のはなし

職人の道具

2010年4月26日

 大工の道具は、手の延長です。柄ひとつ、重さや形まで使う人の手にあわせ、手をいれて命が吹き込まれています。

大工のノミは、いとも簡単に指を落としてしまうほど、鋭利で危険なものですが、その道具で人を傷つけたりする事はありません。

毎朝道具や機械を揃え、刃物を研ぎ、仕事が終われば、掃除をして元の道具入れにしまいます。

毎日毎日研いでも、カンナの刃をきちんと研げるまでには、5年かかるともいわれます。

その道具は、世界に誇れる日本の鍛冶や目立ての職人によって作られてきましたが、その後継者が減っているのも現実です。

手刻みの現場でも、すべてがノミ・のこぎり・カンナ等で手作業をするわけではありません。電動機械を使う場面もあります。人の目を通し、状況に応じ道具を使い分けます。

材木の種類や、性質によっても道具を使い分けます。

杉材は、現在流通する国産材の代表格ですが、大工さんにとっては、たいへん苦労をする材でもあります。道具を使い分けることで、納得いく仕事をするのです。

そして日々仕事がどうやってはかどるかを考える創意工夫があります。

 

 

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親方の研ぎハコ。常に水をはったこの木の箱から水が漏れることはないのが親方のちょっとした自慢です。

 

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毎朝の仕事は研ぎモノから始まります。

 

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左右の角に合うように作られた双子のノミとカンナ

 

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巾3寸を超える巨大なノミ。沢山の刻みをする時にはこのノミが大活躍ですが、研ぐのも一苦労のようです。

 

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せまい場所にのこぎりを入れる為ため、先を細くしたのこぎり。

 

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角のみ機/ほぞとり機等の電動機械も活躍します。

 

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創意工夫の中からの発明品。これが何の為に使うものかわかった方は、是非ご連絡ください。

 

墨付け・刻み

2010年4月26日

人間とコンピュータ。どちらが優れているか。という議論はナンセンスだと思います。

改良を重ねたプレカットは、データの入力さえ間違えなければ、精度が高く間違いがありません。

人口乾燥材への抵抗がなく、信頼できる材料を使い、それほど長寿命の家を望まないのであれば、コストと予算が圧縮できるプレカットは良い選択です。

ただ、プレカットの場合でも、木の性質をみて仕事をするかしないかでは、大きな差が出ます。

昔ながらの大工による墨付けの作業は、芯の位置や木目をみて、将来的な木の曲がりや反りを計算して、どの部位にどの木をどのように使うかを考えます。

時間とコストに追われる最近の現場では、木の上下も、どこに使うかなども関係なしに、右から左に、並べているという現場があることは残念なことです。

一生涯あるいは、次の世代にまで家を残したい。あるいは、真の日本の伝統建築技術をもった職人に委ねたい。また、出来る限り金物に頼った家にはしたくない。とお考えであれば、吟味した材料を使い、職人の手間代という若干の予算が必要になりますが、刻みという選択肢があります。

プレカットにもピンきりがあり、手刻みの仕事にもピンきりがあります。

コストを圧縮しようとして安い材料や、仕事を知らない人間の手で作られるプレカットの家と、材料を吟味し、きちんと経験を積んだ職人によるプレカットの家では全く出来は異なります。

それは刻みでもいえることです。

いい加減な仕事をしても、刻みは刻みです。

あえて言うなら、中途半端な手刻みであれば、プレカットの方が良いかもしれません。

私たちの職人は自分の仕事への誇りと、そして作ったものへの一生の責任を持っています。

そして何よりも仕事が大好きな職人です。何代も続く先代の職人の口伝を引き継ぎながら経験を積む一方で、良い仕事をする為に、日々創意工夫や道具の手入れにも手を怠りません。

見るヒトが驚き、関心する仕事を当たり前の事としています。

 

 

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最近では刻む事の出来る職人がいなくなった為、あまり使われなくなった金輪継ぎ手。ひっぱりやねじれに強く、大きな梁の継ぎ手になります。

 

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丁寧に作られた台持ち継ぎ手。きめ細かい細部にわたる気(木)遣いはプレカットには出来ない技です。

 

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車知や二枚ほぞ等の継ぎ手仕口ももきちんと面をとった丁寧な仕事です。

 

天然葉枯らし乾燥、トレーサビリティのTSドライ

2010年4月26日

私が、初めて天竜のTSドライさんを尋ねたのは、天然乾燥にこだわった材木を生産・流通されていたからです。

山での3ケ月の葉枯らし乾燥と6ケ月以上の天然乾燥を行い、さらに一本一本の木をバーコードで管理するトレーサビリティを確立し、そして 木曾に近い美杉の産地であるという理由もありました。

現在流通する材木のほとんどは、人口乾燥材が主流で、天然乾燥材を入手するには、一年以上前から準備を必要とするのが一般的ですが、、天竜のTSドライさんは天然乾燥にこだわり、在庫をもって産直という形で生産・流通しています。

材木は一般的に原木市場に入りますが、市場に入った材木の産地をすべて信じることは困難である。というのがこの業界の常識だそうで、その意味でもトレーサビリティを確立されているということは、大変なことでしょう。

農産物や食品の世界と同じように、素性と作り手を明らかにする事は、手間と時間のかかる事ですが、何より製品に対する信頼を得る大切な努力です。材木の世界でも実現されることは、消費者にとっても、とても良いことだと思います。

ちなみに、 人口乾燥材が主流の理由は、人口乾燥材でないと納入先から反ったり暴れたりというクレームが来るからだそうです。

プレカットが主流の現在、材木は機械に入れるためまっすぐで表面が割れていないものでないと都合が悪いのだそうです。

確かに、プレカットにとって人口乾燥は必須の技術です。

しかし木の一本一本をみて、くせや曲がる方向をよみながら、手刻みをする場合には、人口乾燥は不要で、高温で乾燥された硬く乾いた表面に、のみやのこぎりをいれるには、骨が折れるようです。

しかも仕口や継ぎ手による木組みの工法の場合、いずれ内部割れを起こす可能性の人口乾燥材を使うことは大きなリスクを抱えることになります。

天竜TSドライさんは伐採期間も10月から3月の水のあがらない冬場に限定しています。採算の為、一年中伐採する産地もあるようですが、良い製品に責任を持って提供されることは、ありがたいことです。

また 冬の新月の期間に限定し、伐採後は天然葉枯らし乾燥を経て約1年間以上乾燥させた「ノイモントホルツ」という材も提供しています。

日本でも古くから、吉野等では「闇伐り」という言い伝えがあり、法隆寺の柱も「闇伐り」といわれています。

新月伐採が科学的に証明されているわけではないようですが、経験的に新月に伐った木の細胞には、水分やでんぷんの量が少なく、虫がつきにくいということがいわれているのだそうです。

30年住宅か、100年住宅か。家をつくる際に、どちらを選択するはよく考えることが大切です。

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天竜TSドライさんは深い深い山の中にありました。木が横に生えてしまうほどの、切り立った山です。杉だらけなのですが、花粉症で悩む人は少ないそうです、杉花粉は、都会の空気とまざりアレルギーを引き起こすという一説も・・・

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一本一本の材木につけられるバーコード。最初の06は伐採年の2006年。管理番号や事業者コードが続き、Jというのが樹齢100年以上という記しです。

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向かって左がTSドライさんの天然乾燥の杉。外側には割れがありますが、この割れは強度には影響がありません。

右側は、天竜産の杉の人口乾燥材。同じ杉ですが、全体的に黒くなっていて、内部が割れています。

リクルート

2010年4月26日

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リフォームラボ株式会社

info@reformlab.jp

国産か輸入かという選択

2010年4月24日

 

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地産地消の視点から、そして日本の気候風土で育った国産の材を使うことが、家の健康の為にも良い事だと思います。

日本の森を再生するという意味でも、積極的に国産の材を使うことは大切です。

国産材を積極的に使うことは山を活性化し、間伐を行うことで、森が健全となり多様な生態系を形成し、川や海を豊かにします。 

成長する木はCo2を吸収固定するので、温暖化の防止につながり、未来への責任を果たす為にも、国産材を使うことは、大切なことです。

 

 

しかし、国産材にもピンきりがあり、輸入材にもピンきりがあります。

すべての国産材が良いというわけでもなく、またすべての輸入材が良い、あるいは悪いというわけでもありません。

量産工業化住宅で特に重用されるホワイトウッド(オウシュウトウヒ等)の白蟻被害の問題等は、看過してはいけないでしょう。

 

コストや、施工側の利便性の追求から、木を皆伐しているロシアや中国の山は、近い将来禿山になってしまうのでは、という懸念があるという話も聞かれます。

 

木材の健全な生産・輸出に力を入れているカナダ栂は、樹齢100年以下の木は伐採せず、厳しい管理のもと、高品質の木材を生産流通しています。

良質できちんとした管理の下の製品であれば、必要に応じ輸入材でも使うことに躊躇する必要は無いように思われます。

 

 

風評や一方の話だけを信じるのではなく、時間を惜しまず、生産者や携わる人々と会って話しをし、取り組む姿勢を聞く事がとても大切です。

誠実な志をもっているかどうかは、会って話しをして自分の目で確かめることで、確信になります。

 

 

 

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私たちは、新木場の材木市場にお客様を直接お連れすることもあります。最初素人には見分けがつかない沢山の材木も、プロの人の話を聞きながらみていくと、段々違いがわかってきて、引き込まれていくのが面白いものです。
この材木市場はいわば、材木の築地市場で日本の名産地のすばらしい材木が集まっています。しかしながら輸入の人口乾燥材におされ、それらは8割程まで占めているのが現状です。
写真は、吉野の5寸檜の化粧柱を見立ててもらっているところ。

木を使うということ

2010年4月24日

 

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 ◇ 温故知新と地産地消・地使用◇

国産の材を手刻みすることが、日本の建築文化を守り、育てます

 

地元でとれたものを地元で消費する地産地消は、建築の世界でも、大切なことです。

 

採れたての新鮮な素材が何よりのご馳走であり、その土地の風土が様々な文化を創りだすように、

その土地の風土・気候で育った材で建てた家は、その土地に一番適し、そして結果的に長持ちをします。

 

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価格が安く、扱いやすいという理由で使われる輸入材は、高温多湿な日本の風土では、腐朽やシロアリ被害を呼ぶこともあります。

 

手刻みの出来る大工職人は、目的に応じ樹種を選び、木の特徴やくせ、方角や配置を考え、材を選びそして刻みます。

職人のモノ創りの知恵と創造力と情熱で紡ぎだされたカタチは、自然に調和し美しく、人の心を揺さぶるものです。

 

レタス一枚まで地球中の様々な場所から来るコンビニ弁当は、手軽で便利ですが、創り手の顔は見えません。旬の地のものを使い、顔の見える創り手による食材と料理は、心とお腹を満足させ、そして幸せにしてくれます。

規格の部材を組み立てる 工業化製品の家ではなく、お客さまと向き合って、材やプランを吟味する家つくりが私達の仕事です。

 

国産の木を使うことは日本の建築文化を守ること、そして健全な森や海を育てることにも繋がります。小さな循環を意識し、材料を調達することで、コストは低減し、環境への負荷は小さくなります。

 

 

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◇木のカーボンニュートラル

 

木は成長過程の光合成で、Co2を吸収し、その木を家の構造や家具として使うことで、吸収したCo2を長期間固定し、温暖化対策に有効となります。 

木材は最終的には土に還り、その際にCo2を排出しますが、Co2の収支はゼロ、すなわちカーボンニュートラルという点で、Co2を増大させません。 現在安価に流通する輸入材は、日本の高温多湿な風土にあわない為の品質の問題や、大量伐採による、砂漠化や温暖化などの問題、また無駄な流通コストや経費も、安い労働力により支えられているだけで、環境破壊や不平等という点では将来に大きなつけを支払っていることになります。

 

国産の木を、手刻みで。

 

日本の建築文化と自然を尊び、その自然に寄り添っていけるように。

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天然国産材のオーガニックエコな家つくり

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