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日記

「林業はこれからの花形産業」です。三重の「もりずむ」を訪ねました

2016年2月18日

 

 

もりずむ.jpg                       写真は、もりずむの三浦さん(向かって左)と藤崎さん

「林業はこれからの花形産業」です。

美杉の三浦林商の三浦妃己郎さんは、本当に楽しそうに語ります。
天竜TSドライの故榊原さんの縁で広がった、もりずむ・三浦林商さんの森をたずねました。

今回案内して頂いた美杉は、三重の伊勢と奈良の吉野の丁度中間あたり、まさに美しい杉と鹿しかいない
ようなところ。映画「WoodJob」の舞台にもなった、別名「神去村」です。

三浦さんは三浦しをんの親戚筋。村をあげての撮影協力のなか、木こりの指導や資材の提供など、陰の主役級の役割を担われました。

美杉の山を案内していただく為車を走らせると、すぐに杉の山ばかり。そして遠目には、線香林といわれる痩せ細った杉林にも拘わらず、丁寧に間伐がされています。うちは現場が近いんです。三浦さんの周辺の山はほとんどが間伐されていて、地面にまで日が届いています。

三浦さんは、それぞれの山主さんの性格や、家族関係などをつぶさに把握され、山主さんが何を望んでいるかを、ひとりひとりと膝を詰めて向き合うそうです。

そういった地道な活動で、今では山の手入れをしてほしいという山主さんが、順番待ちの状態だそうです。

三浦さんは木を見ると、相手の顔が浮かび、その木がどんな使われ方。商品になるか、わくわくする。と楽しそうに語ってくれます。だから選木作業は今すぐに商品になるものと、将来的に価値を生み出すものを決定するため、たいへん重要な作業だそうです。

三浦林商さんは、住宅の構造材を提供する林業家ですが、木の商品化は多彩。

杉皮・パレット材。箸から木の小物・大型の家具材や道の駅にだす加工用の板材。おが粉は、近くの有機の畜産農家用に。また赤身の小さな木片は、杉茶に化けます。

どんな端材も余すことなく、しかし、ただそのまま出すのではなく、手間を惜しまずひと手間かけ、価値あるものとして、商品にされます。

一般的な林業では、手間をかけること自体が大変なコスト増になるため、採算があわない仕事はできる限り行わない。効率を重視することが至上となるため、商品価値がない間伐材は山に切り捨てられ、端材はチップやバイオマスが、一般的です。

 

そんな中、なぜ三浦さんは手間をかけるのか。
丁寧に木を育て、先人が当たり前にやっていた、適正な時期に伐採し乾燥させる「月齢伐採・葉枯らし・天然乾燥」という、木の持つ多様な特性を生かした木材にしているからだと思います。

 

 「価値ある木」とはなんでしょうか?

 

美しい木目・樹齢・生産地・節や傷がないもの。割れない。反らずに
真っ直ぐであること。乾燥度。
これまでの、木材の価値は、こういった基準であったかと思います。私たちは杉という木材と出会い突き詰めていくことで、木材。特に杉の真の価値を再考しました。

本来の強度とはなんだろう。

粘りや靱性とはなんだろう。

耐久性とはなんだろう。

そして精油の持つ様々な、効能とは。

こういった事は、あまり議論がされていなかったのでは無いでしょうか?

 

「月齢伐採・葉枯らし・天然乾燥」

この手法は、工業化・効率化の世界では、全くナンセンスの手法です。
伐採の時期を限定し、山で時間をかけて枯らし、更に時間をかけてゆっくり自然の状態で乾燥させる。
こうやって伐採された木材は樹齢70年であれば、伐採後2倍の140年持つ。といわれます。

三浦さんと一緒に活動されている、「もりずむ」の藤崎さんは、こんなことを教えてくださいました。

杉の皮は、水をはじき、湿気を逃がす、天然のゴアテックス。
あるいは、100年も生きてきた木に、虫が入っただけで、その価値をゼロにするって、どうなんだろう。

実際虫が入った部分を研究機関で検査してもらったら、木は自身の自然治癒力で補修をする為、虫食い部分はフェノール成分が増加しているとのことでした。

その成分は殺菌効果として、私たちにとっても良い存在となるはずです。

一般的には木の節は欠点とみられますが、天然乾燥の杉の節の部分は、油分が強く、甘い香りが凝縮されています。

一点の傷もない、白くキメのそろった材が良い材と言われますが、赤や黒の部分には精油成分が多く、殺菌効果やアロマの効果も高くなります。

 

長年生きてきて、自然の中で共生してきた虫が入ってかじった跡、あるいは節。風が吹いて枝がおれた後の傷あと。それらは、自然がつくりだす景色として愛でることができるのは、日本人の豊かな感性ではなかったでしょうか。

 

しかも、そこには豊かな精油の成分が凝縮されているのですから。
山を整備し丁寧に枝打ちをし一点の曇りもない木材を生産されている林業家への尊敬の念は間違いありません。

 

それだけではなく、木の本質的な特質を残す、すなわち生きたままの状態から、プラスもマイナスもせず、木の特質は活かしていくことは、

人の命を守ってくれる強度、あるいは豊かな精油の成分をもち、吸放湿性能は、人を心身ともに積極的に健やかにしてくれる、性能があります。

そんな林業家の材料にも、尊い価値があるのではないでしょうか。
日本の工業製品としての建材は印刷技術の進歩で、節のない美しい木目柄を生み出しています。

 

しかしもしかしたら、節や虫食いの傷跡までも印刷技術で再現し、本物の無垢材とたがわないものが、工業製品として世に出てくるといった時代も遠くはないのではないでしょうか。

 

 その時になって、本物の価値が見失われないように、
本物の無垢の木の恩恵を改めて、多くの人に知っていただきたい。

と心から思うのでした。

 

そして、「天竜TSドライ」と「もりずむ」は、これからも連携をとって、本物の木材をつくっていきます。

 

 

 

美杉.jpg

 

 

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