年が明けてあっという間に1月が終わっちゃいます。本当に月日の流れが速い!
さて、昨年の3月から始めた、パンのカビ実験の結果が興味深いので共有します。
世の中には様々なカビ実験がありますが、これは天竜の天然乾燥材の仲間が始めたもので、再現率100%ということで、多くの方が実験をしています。
実験内容は、市販の密閉できるプラスティック容器に、
①天然乾燥の杉のおがくず ②人工乾燥の杉のおがくず
③人工乾燥の桧のおがくず ④何も入れない。
という4つの環境に対し、
A 天然酵母のパンと、B 市販されている食パン。計8パタンをいれて、
経過を観察したものです。
私が始めたのは昨年の3月9日。
当初は杉のおがくずをいれたパンはいずれの条件でも、カビが生えない。
ヒノキと何も入れないものは、カビが生えてきた。
そんな感じでしたが、10ケ月を超えたところで、面白い現象になっていました。
天然乾燥の杉のおがくずをいれた天然酵母のパンは、カビは生えずに、発酵しているような甘い香りに変化していました。これをみた方々は、食べられんじゃない!と・・・
この他天然杉乾燥X市販のパン
人工乾燥杉X天然酵母パンおよび市販のパンは、カビが生えません。
一方何もいれないプラスチックの環境はといえば、
下記の写真は実験開始ひと月程、2015年3月30日の時点ですが、天然酵母のパンはすぐにカビが生えていました。
それが、10ケ月を経過すると、おそらく天然酵母パンの持っている微生物の力で、パンは分解に進みました。(上記の写真右上)
下の写真は、何も入れない場X市販のパンの10ケ月後ですが、腐敗がすすみドロドロの状態です。
一方、「天然酵母パン」 X 「天然乾燥した杉材」は、パンはかびることなく、発酵に進みました。
「発酵」と「腐敗」が、環境によってつくられることを、この実験はわかりやすく示してくれました。
腐敗してしまっては、元も子もありませんが、発酵すれば、私たちにはありがたいことがたくさんあります。
私たちにとって、微生物が大切である。という事はとても高い関心となっています。
腸内細菌・腸内フローラ・プロバイオティクス・腸美人。発酵食品の大切さ・・・
微生物との良い関係を築くことが、今はブームと言えるほどになっています。
良い「場」があれば、「発酵」にすすみ、そして最後は分解され、いずれは土になり、次の命のゆりかごになります。
しかしその「場」があまり都合の良い環境でなければ、「腐敗」の道に進んでしまう。もちろん土にはなるでしょうか、次の命にとってはあまり好ましくない土かもしれません。
この小さな容器を、住環境に例えてみることはどうでしょう。
木材に人工的な手を加えない、天然乾燥の杉の空間
木材の成分に影響する人工的に手を加えた、人工乾燥の杉やヒノキの空間
ビニルクロスやウレタン塗装など、石油由来の新建材の空間
現代人を悩ませるアレルギー等の原因は主には食べ物かもしれませんが、空気を含めた、住環境の重要さということも、改めて微生物との関係から考えることも興味深いことです。
食べるものの大切さはわかりやすい。でも、それを取り巻く環境も大切だなぁ。っと
米国オレゴン大学 生物学建築環境センターディレクターのジェシカ グリーンは、人工的にコントロールした病院などでおこる院内感染の問題解決の研究として、自然の森の環境を取り込むこと。
すなわち 「微生物によって建築のプロセスを変える」という研究をされています。
微生物と住環境。はこれからますます興味深いです。
ちなみに私の今年のテーマは
「金持ち」より「菌もち」
良い菌と仲良くくなって、健康で美しくです!
※なお木材の人工乾燥には様々なケースがありますので、全ての人工乾燥が問題になるわけではありません。天然乾燥に近い低温乾燥など、木材の成分を温存する乾燥方法も、様々あります。