今回の長老を囲む会は本物の調味料・築地の鰹節屋タイコウの稲葉さんをお迎えしました。
子供のころは、削れない鰹けずりで鰹節でを削ったものですが、
今回、本物の鰹節を本物の鰹節削りで削り、ひいただし汁をいただくのは、初めての経験でした。
みなさんに、この違いをお伝えできないのが残念なほど、このだしは上品で、奥深く、味わい深いのです。
稲葉さんの夢は「かつぶし屋として死ぬこと。」だそうです。
今の時代、死ぬまで「かつぶし屋でいられるかどうか、わからない。
日本の誇るべき伝統技術の集大成の鰹節文化は、日本の木造建築文化と同じように絶滅危惧種ということでしょうか・・・
今の時代、便利で手軽な化学調味料でも、十分美味しいだし汁があっという間にできます。
それが当たり前になった今、鰹節を吟味し、削り器で削って、出汁をひく。
そんな手間をかけるのは、味で勝負をする料理屋さんと、安全や本物にこだわる一部の人だけになっているのでしょう。
本来の出汁のうまみ成分「イノシン酸」は、残念ながら大量生産・効率化された現代の製法からは得られないそうです。
現実的には、私たちの口に入るのは、化学的に合成されたもや、それ風のものなのでした。
昔ながらの伝統の一本釣り。
想像をこえる手間・熟練の感と技術。
それらの日本の誇るべき食文化のある意味頂点にあるのが鰹節なのかもしれません。
そして鰹節は、やっぱり発酵食品なのです!
日本の出汁は、世界から「SUSHI」や「BONSAI」と同じように「DASHI」として認知・評価される日本の誇るべき食文化だそうですが、残念なことに311以降日本の食材は世界から快くは受け入れてもらえなくなりました。
たいこうさんも、そのためフランスへ進出の機会が難しくなったそうです。
日本の文化。私たちは少なくとも自分の世代で途絶えさせてはいけない。
美味しいものをいただいた一方で、そんなせつない気持ちになりました。