今から200年ほど前,化石燃料・石油という資源の発見は、
それまでの貧しく過酷で不平等の社会から、平等で、便利で豊かな暮らしをもたらしました。
雇用が安定し経済発展をとげ、どこにでも簡単に行くことができ、お金をだせばどんなものでも手に入れることができ、だれもがそれなりの生活をできるようになりました。
それとともに、あくなき効率の追及や、競争や変化を追い求める社会は、ストレスや病気、資源・環境問題となり、
エネルギー問題は未来に対する不安となり、真実が見えなくなっている政治・社会への不信感にもなっています。
人類の進歩と革新は、少々行き過ぎてしまったのではないでしょうか?
石油に頼らない時代の人々の生活が、過酷であったことは否定できません。
しかしながら、
質素な中でも多くの恵みをもたらす自然と上手に折り合いながり、豊かで平和に暮らしていたのではないでしょうか。
人間には自然の摂理をきちんと読み、創意工夫する知恵、そしてたゆまなき向上心、あたたかな情があります。
少し行き過ぎた時計を戻し、人の叡智を生かしていけば、もっと豊かで快適で、未来に繋がる平和な社会になるのではないでしょうか。
多様で豊かな森の恵みが川を伝い、海の生き物の養分や棲家となり、海の恵みとなります。
土の中の微生物でさえ、生態系ピラミッドの一部として、自然界を形成しています。
どれかがなくなれば、そのしくみはバランスを崩し、恵みはなくなります。
すべての生き物の亡骸は土となり、次の命を育むゆりかごになります。
家の素材の先にも、森や川や山があります。
言い換えるなら、
知恵をいかし、日本の森の恵み、そして太陽な風たちと折り合いながら、快適で長持ちし、未来につながる住まいをつくることができます。
自然の循環の中の一員になり、自然に添って折り合っていく生き方。
そんなことを大切に、わたしたちは、住まいづくりに取り組んでいます。
「便利に頼る無能の時代から、不便を楽しめる知恵の時代に。」