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 「剛と柔」

「伝統と新しい技術」「パッシブ・アクティブ」

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奈良薬師寺の東塔(向かって左)・金堂(真ん中)と西塔(向かって右)

奈良時代に創建され現存する東塔と、1981年西岡棟梁らによって再建された西塔。1000年後、自重で沈む姿を計算され作った西塔と、1300年の年月を経た東塔が日本建築の悠久を静かに語りかけてくれているようです。
 

 

 

 

エコロジーの世界にも剛と柔があります。

太陽光や風・樹木等の自然や,そのエネルギーを上手に利用したり、土壁や庇・打ち水やよしずなど古くからの伝え続けれらたヒトの知恵を上手に利用するのが、パッシブ・柔であるのに対し、ハイテクを駆使し、動力等を使った装置を使うのが、アクティブ、剛になるように思われます。

ソーラーパネルの太陽光発電やハイブリッドカーはその代表選手でしょう。

既存のガソリン車や、石油エネルギーを使い続けることと比較した場合、CO2の排出が抑えられる事も数値化されています。

しかしながら、果たしてその製品を作るコストやエネルギー。耐用年数とメンテナンスコスト、そして最終的にゴミになった時の事などを考えた場合、実際の所、どうなのであろうかは、多くの議論がある所です。

どちらを選択するかは、経済性や価値観・目的によりますので、出来る限り、正しく適正な情報から判断することが肝要かと思います。

少なくともエコだから、太陽光発電をしているから、電気をいくらでも使っても良い。

ハイブリッドカーだから、車もどんどん乗っても良い。という考え方だけは避けたいものです。

建築の構法にも剛と柔があります。

コンクリートや、鉄骨などの頑丈な構造体には安心感があるでしょう。木造でも、金物でがっちり固めることが、丈夫で安心であるという考え方があります。

一方、木と真剣に向き合う大工職人は、口をそろえて「木と金物の相性は悪く、時間が経過すれば、金物がゆるみ、腐ってくる」といいます。

また、無垢材は個体差がある為、客観的に強度を数値化することが難しい一方、工業製品である集成材は、数値化が容易な為、数値化できるものを、強いといいます。

剛構造・高気密・高断熱や外断熱が、良いとする風潮もあります。

高温多湿の日本では、昔から、「家造りは夏を旨とせよ。」といわれ、冬は寒い家になってしまいましたが、家と住む人間の、健康や快適さを考えれば、「風通しを良くすることを忘れず、冬も快適にすることを考えるべきではないでしょうか。

地震から家を守る為に、頑丈といわれる素材でがっちり固め、沢山の金物を使い、あるいはハイテク技術を駆使した免振・耐震構造技術を開発し、カビや結露・シックハウス対策の為に、24時間換気という動力装置を入れ、一部の心無い建築業者を取り締まる為に、法律が厳しくなり、また少しでも安くという価格至上主義は、安い材料で量産・工業化住宅となっています。

顔の見える人と人との信頼関係よりも、10年保証という保証書の方が大切になっていますが、保証が終わった10年後はどうなるのでしょうか?

自身の仕事に誇りをもつ職人は自分のつくったものは、一生の責任をもって仕事をしてます。

地震国日本は古くから、木造の伝統構法は本来釘や金物を使わない、柔の構造でした。

大工により刻まれた、仕口や継ぎ手で組まれた木組みの家は、しなやかさで地震や台風から人を守ったものです。

長い庇や土壁が夏の暑さをさえぎり、冬には断熱の役目を果たし、障子や襖が、光や温度を調節します。

宮大工、西岡棟梁のことばの中に、

法隆寺の修復に携わり、様々な時代の工人による補修の痕跡をみると、1300年前の飛鳥の工人を超えるものは無いという事が書かれていました。

 

日本の建築文化が飛鳥の時代に確立していたということを、今一度よく考えてみたいものです。

先人の知恵に学び、本質をはずすことなく、新しい技術を取り入れていく。

「剛と柔」「パッシブとアクティブ」「ハイテクと伝統」それぞれの特質を理解し、バランスよく取り入れること。

それが本当の進化の形だと考えたいものです。

 

 

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